離婚調停を自分でやるには?流れや費用・長期化させないための方法も

離婚をしたい!と思っても、夫婦の話し合いでなかなか決まらないとなると、離婚調停が頭をよぎり出すことでしょう。
すると気になるのが、
- 離婚調停の具体的な流れ
- 離婚調停にはどのくらいの費用や期間がかかるのか
- 離婚調停は自分でできるのか
などではないでしょうか。
そこで今回は、離婚調停の流れのイメージをつかんでいただき、何からどのように準備したらよいか、離婚調停を自分でする方法をご紹介します。
離婚調停とは?
離婚調停とは、夫婦間で離婚の話し合いができないときや、話し合ってもお互いに合意できないとき、離婚することには合意できたが、親権や財産分与などの条件が決まらないときなどに、中立な立場の調停委員に間に入ってもらって、話し合う手続きのことです。
離婚調停の流れ
離婚調停の具体的な流れ
離婚調停を申し立てると、裁判所にて調停が行われ、最終的に調停成立か調停不成立、または取下げで終了になります。
下の図のような流れになります。
家庭裁判所に申し立てる
離婚調停は、調停を申し立てる側が、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立て、その裁判所で調停手続が開始されます。
調停の開始
調停の申し立てをすると、裁判所は、約1か月~1か月半先の日を調停を行う日に指定し、申立人と相手方を呼び出します。
調停を進行する人
離婚調停は、裁判官1名と調停委員2名(男女ひとりづつ)の調停委員会が行います。
裁判官は、事前に調停委員と打ち合わせをし、実際の調停は、2名の調停委員に任せます。
親権を決める場合などには、家庭裁判所調査官が同席することもあります。
裁判官は、調停の成立や不成立などの最終的なところで立ち会うことが多いです。
家庭裁判所での調停の進め方
では、実際に期日に呼び出され、裁判所でどのように話し合いが進んていくのかを見ていきましょう。
裁判所では、夫婦が別々の控え室に待機し、調停委員が呼びに来たら、交代で調停室に入って話をします。
調停室での話は、約30分程度で交代し、それを2回ほど繰り返すことが多く、1回の調停の時間は約2時間です。
そして、1か月〜1か月半に1回のペースで、話し合いが進みます。
調停調書の作成
離婚することや、離婚条件にお互いが合意できれば、裁判官、調停委員、当事者、裁判所書記官が立ち会って、合意した内容を確認します。
双方が,その内容で調停を成立させることに間違いないと確認したら、調停成立です。
合意した内容は、裁判所書記官が「調停調書」という文書を作成します。
この調停調書は、裁判所の訴訟の判決と同じく効力があります。
そのため、養育費、財産分与など金銭の支払いの合意をしたときは、約束の支払いがないときは、差押えができます。
また、財産分与などで、不動産の名義変更の合意をしたときは、不動産を渡す側の捺印がなくても、もらう側が単独で法務局で名義変更の手続きをとることもできます。
離婚調停にかかる費用
費用の総額
揃える必要書類にもよりますが、弁護士に依頼せずに、自分で申立てをする場合は、交通費を除いて約5,000円です。
弁護士に依頼した場合は、契約内容にもよりますが、約80万円~です。
離婚調停の申立てをするとき、離婚調停中、調停成立のときに分けてまとめてみました。
離婚調停の申立てをするときにかかる費用
①申立て手数料
1,200円 離婚調停申立書に収入印紙を貼る方法で納付します。
離婚調停の申立と同時に、婚姻費用分担請求調停の申立をするときには、婚姻費用分担請求調停の申立て手数料として更に1,200円が必要となります。
②切手
裁判所から相手に郵便物を送るために、800円の切手を裁判所に預けておきます。
切手の内訳は、裁判所によって異なっていますので、申立てをする裁判所に問い合わせてくださいね。
印紙と切手は、大きい裁判所では、裁判所内に取り扱う売店がある場合があります。
③その他
必要書類(戸籍謄本、住民票、所得証明書など)を手に入れる費用、コピー代、裁判所に行く交通費などがかかります。
戸籍謄本は、450円、住民票は市区町村により異なり、200〜400円のところが多いようです。
郵送で取り寄せるときには、郵便小為替手数料(小為替1枚あたり100円)、切手代(往復)もかかります。
④弁護士に依頼するとき
弁護士に依頼したときは、弁護士費用がかかります。
弁護士によっても、事案によっても、金額が異なります。
最初に支払う弁護士費用(着手金)は40万円程度のことが多いようです。
調停1回毎に「日当」の支払を要する場合もあります。
離婚調停中にかかる費用
①コピー代
証拠や書面を裁判所に出すときにはコピーをする必要があり、裁判所の調停記録をコピーすることもあります。
②交通費
裁判所に行く交通費がかかります。
離婚調停の成立のときにかかる費用
①離婚調停調書謄本
離婚調停が離婚成立により終了したときの成立手数料はありませんが、離婚届や年金分割手続をするときに調停調書謄本が必要となります。
1通150円で、収入印紙で納付します。
②送達費用
調停調書正本は調書代は無料ですが、送達をするため、その郵送代がかかります。
相手方に郵送で送達するには、1072円~1082円がか必要です。
③弁護士に依頼したとき
弁護士に依頼していたときには、成功報酬がかかります。
離婚を希望していて、離婚ができる結果となったときの成功報酬は、40万円程度の契約が多いようです。
金銭や財産を得られたときには、その10〜15%を成功報酬に加算する契約が多いようです。
離婚調停にかかる期間
次に、離婚調停は、どのくらいの期間で終了しているか見てみましょう。
裁判所の平成29年の司法統計年報によると、1か月以内が8%、1か月超3か月以内が28%、3か月超6か月以内が32%、6か月超1年以内が24%、1年超2年以内が7%、2年超が1%となっています。
(平成29年裁判所司法統計より作成)
これを見ると、離婚調停を申し立てから半年以内で、6割以上の人が離婚に至っていることがわかります。
しかし、3割以上の人が1年~2年以内の時間を費やしていることもわかります。
申立てから約1か月半で最初の調停期日が入り、その後1か月~1か月半毎に調停期日が入ることから、3回程度の調停で離婚調停の成立、不成立が決まることが多いということになります。
離婚調停を長期化させてしまう理由
出席者の日程調整が難しいとき
調停期日は、裁判官、調停委員、当事者の都合を調整して日程を決めます。
仕事などで日程調整ができない、一度決めた日程に急な予定が入り出席できなくなる、などが度重なると、長期化します。
離婚の争点が多いとき
財産分与、親権、面会交流、養育費、慰謝料、年金分割など決めなければならない点が多いほど、長期化します。
当事者が大きく離婚の条件を譲り合えれば、すぐに離婚調停成立となるのは当然ですが、全く譲り合わない場合にも、すぐに不成立となり、終了します。
逆に、少しずつ条件を譲っていく場合に長期化する傾向があります。
提出書類の準備が遅いとき
財産分与、養育費などの計算には、預金通帳、所得証明書などを準備しなければならないことがあります。
当事者が協力して早々に準備しないと長期化していきます。
子供がいるとき
子供がいる場合には、夫婦双方の子に対する愛情ゆえに、「親権をどちらが持つか」「養育費をいくら払うか」で調停が長引くケースがあります。
子どもが未成年の場合は、親権者は誰なのかを離婚届に必ず書かなければならないため、離婚するには親権を事前に決める必要があります。
そのため、親権が争われている場合は特に、離婚調停が長引く傾向があります。
離婚調停を自分でやる方法と長期化させないために
「離婚調停を短期間で成立させること」は、当事者にとって、精神的負担から一刻も早く解放されるために、とても重要なことです。
では、どうしたら、自分の望む結果を出し、短期間で離婚調停を終わらせることができるでしょうか。
離婚調停で弁護士を付けた方が短期間で成立できるの?
最高裁判所の実情調査では、
法的情報を入手することの容易化等を背景とする当事者の傾向の変化や、手続代理人(弁護士)と本人との信頼関係の構築の困難化といった事情がある中、基本的には,手続代理人(弁護士)が付くことは審理の促進につながり,迅速化(紛争解決の早期化)の観点からも効用があるという趣旨の指摘が大勢を占めた。
(「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」より抜粋)
とあり、弁護士を付けることは、調停を短期間で成立させるために有効である、という評価がされています。
しかし、同じく最高裁判所の実情調査において、弁護士が付いても調停が円滑に進まない場合があることも多々指摘されています。
・庁の規模を問わず、調停手続を通過点としてしか考えず事件を訴訟に持って行きたがって、無理な主張をふりかざしてくる者が、特に若手弁護士に目立つ。
・ベテラン弁護士の中には、当事者との打合せ時間もとらない者や、調停期日の場で当事者の発言を押さえ付けて弁護士自身の主張を展開する者もある。
・感情調整を必要とする調停手続であるにもかかわらず、当事者本人を同行しない手続代理人が散見されるようになっている。 手続代理人が、裏付け資料もないような主張に過度に拘泥すると、他の当事者も態度を硬化させてしまう。
・弁護士が付くこと自体で感情的対立が激化することもある。
(「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」より抜粋)
このように、すべてではないにしても、弁護士に依頼すると、「なかなか話ができない」「忙しいと言われてしまう」「自分の意見を聞いてもらえない」「当事者の発言を抑える」「離婚の全体を見ないで進められてしまう」ことも多いようです。
かつて、わたしが離婚を考えたときには、8人の弁護士に相談しました。
残念ながら、相談させていただいた弁護士の方々の傾向をみると、たしかに裁判所の実情調査に近いものを感じました。
そのため、わたしは自分で調停、裁判とすすめることを選びました。
感情的なことをあまり考えなくてすむ企業法務や、離婚と同じ家事事件でも、遺産相続など報酬の大きな業務を中心的に取り扱っている弁護士や、離婚事件はあまりやらない(やりたくない)という弁護士は、感情やプライベートな部分が濃厚な「離婚事件」について、根気よく話を聞いたり、打合せの時間を持つのが難しいようです。
実際に、既に弁護士を依頼したのちに、「弁護士としっくり来ないので」ということでわたしのところに相談にいらっしゃり、「失敗した、自分の思っているのと違う方向に進んでしまっている」とおっしゃり、仕切り直しをし、調停に時間が掛かってしまう方もいました。
離婚調停を弁護士に依頼するメリットとデメリットを実例でお伝えしていますので、こちらも参考にしてくださいね。
離婚調停を自分でやり長期化させないためには?
離婚では、まず最初に、
- あなたはなぜ離婚したいのか?
- 今の状態から、どんな状態になるために離婚するのか?
に気づき、それを実現するために
- 何を離婚調停で求めるのか?
を探ることがとても大切です。
ひいては、それが早期に離婚調停を終わらせ、あなたが望む暮らしにするための最短の方法です。
弁護士に離婚手続きや条件をすべて決められて、あなたに「こうしなさい」と言う弁護士と調停を進めたいでしょうか?
あなたの意見や本当に望む暮らし、離婚後の将来のことを一緒に考え、実現に向けて進めてくれる、あなたの絶対的な味方と調停を進めたいでしょうか?
まとめ
今回は、
- 離婚調停の具体的な流れ
- 離婚調停にはどのくらいの費用や期間がかかるのか
- 離婚調停は自分でできるのか
についてお伝えしました。
離婚は、一生に一度の大事業です。
「こんなことになってしまうとは・・・」と思うことのないようなパートナーを選んでいただきたいと思います。