生活費を入れない経済的DV夫に対処するには?有利に離婚する方法も

「夫が結婚して以来、一度もお給料明細を見せてくれないし、生活費も食費しか入れてくれないんです。」
「子どもの学費もかかるのに、夫が生活費をほとんど入れてくれなくて生活が苦しいんです。」
コロナ禍のせいか、そんなご相談が増えています。
いままでは、妻のパート収入でまかなっていた部分が、雇い止めや派遣の契約満了などで収入が減り、このような相談につながっているようです。
そこで今回は、
- 経済的DVの具体的な特徴
- 生活費を入れない経済的DV夫への対処方法
- 経済的DV夫と有利に離婚する方法
についてご紹介していきます。
目次
経済的DVとは?
各家庭ごとの「お財布事情」は、まちまちです。
夫婦がフルタイムで共働きの家庭もあれば、妻・夫が専業主婦・主夫で1馬力で家計をやり繰りしている家庭もあります。
事情があり、親に毎月仕送りをしている家庭もあるでしょう。
だからこそ、自分の家庭のお財布事情が他の家庭と比べてどうなのかは、なかなかわかりませんよね。
そこで、まず「経済的DV」とは、どんなDVなのか見ていきましょう。
「経済的DV」とは、配偶者や親子などの親しい関係において、
- 金銭的自由を奪って相手を追い詰めること
- 生活費を渡さない
- 家計のお金をすべて管理する
- 金銭を武器にして配偶者の自由を奪う
ことなどを指します。
一般的には、夫が妻に対して行うことが多く、夫が家計を握っている専業主婦の方が、経済的DVを受けていることが多いようです。
生活費を入れない経済的DVの具体的な特徴
次に、経済的DVの具体的な特徴を見ていきます。
経済的DVの特徴1:生活費をほとんど家庭に入れない
経済的DVには、最小限の生活費しか家庭に入れないという特徴があります。
妻がこれでは足りないからもう少し生活費が欲しい、と言っても、夫が生活費を増やすことはありません。
わたしが実際にカウンセリングした方の例では、「月に3万円の生活費で生活しろ」などと、どう考えても無理でしょ、と言いたくなる要求をされていた方もいらっしゃいました。
そこで仕方なく、妻は自分のパート収入から足りない分を補填することになります。
経済的DVの特徴2:お金の使い道にうるさい
経済的DVの人は、家庭のお金の使い方についてかなりうるさいという特徴もあります。
妻の家計簿を必ずチェックし、「これは無駄な出費ではないのか?」とうるさく言い、必要な費用であったとしても、お金の使い道に文句を言います。
上記のカウンセリングした方の場合は、生活に必要なものでも、夫が納得いかない出費は妻に払わせていました。
しかし、こういう人に限って、自分の使ったお金については一切触れないのですよね。
経済的DVの特徴3:自分の収入を明かさない
自分の収入を明かさないことも、経済的DVの大きな特徴です。
お給料明細すら見せてくれません。
当然のことながら、妻は銀行の通帳を見たことが無い、貯金がいくらあるかも知らない、という状態です。
経済的DVの特徴4:妻が自由になるお金がない
妻にお小遣いを与えない、という特徴もあります。
妻は、自由に使えるお金が無く、最小限の生活費しかもらえないので、自分の洋服も買えず、友人との付き合いもできません。
経済的DVの特徴5:外で働かせてくれない
これまでの特徴のように、妻は生活費にしても自分のお小遣いにしても、お金がないので、なんとか工面しようと外で働くことを考えます。
しかし、経済的DV夫は、妻が外で働くことも許しません。
経済的DV夫に生活費を入れてもらうには
経済的DVは、妻や子どもの人権すらも危ぶまれる問題ですね。
では、ここからは経済的DVへの対処法を具体的にみていきましょう。
経済的DV夫への生活費対処法1:具体的金額を伝える
経済的DV夫には、「〇〇のために必要だから△△円欲しい」と具体的に言ってみましょう。
具体的な使い道がわかれば、納得してくれる可能性があります。
そこで怒りだしたり、増やしてくれないようなら、完全にアウトですが・・・。
経済的DV夫への生活費対処法2:金額に見合った質素な生活にする
あえて夫からもらっている生活費の金額に見合った、とても質素な生活をしてみましょう。
食事は、ごはんと味噌汁、漬物だけにしたり、夜は電気をつけずにろうそくや懐中電灯にするなど、あからさまな方法でのアピールをしてみるのもいいです。
「あなたからもらっている生活費でできる生活は、これが限度です。」ということが伝わります。
ここまでされると、経済的DV夫も、このままではいけないなという気持ちが生まれてくることでしょう。
経済的DV夫の改善はできるのか?
「経済的DV夫と離婚したい!でも子どもを1人で育て上げることは不安だし…。夫が変わってくれたらいいのだけど。」とお思いの方も多いことでしょう。
そこで、これまでのご相談者の方々の様子から見た、わたしなりの経済的DV夫の改善できるか否かのチェック方法をご紹介していきます。
夫が妻を苦しめる意識がある場合
夫の経済的DVが、わざとである場合、または、あなたの苦しさに気づきながら改善する意思がない場合は、夫の経済的DVは変わらないと言えるでしょう。
なぜなら、あなたを苦しめることによって、夫は優越感を感じていると考えられるからです。
このような場合は、夫にいくら上記に書いたような対処方法をとっても、改善することは難しいでしょう。
夫が性格的に金銭に細かく苦しめたい意識はない場合
夫はわざとあなたを苦しめる意識はなく、ただ単純に金銭に細かく、あなたのお金の使い道をチェックしたり、生活費を抑えたりしている場合は、夫の意識が改善される可能性があります。
しかし、夫婦間だけではうまく話がまとまらないことも多々あります。
生活費が足りないことを家計簿を見せながら夫に話しても、「もっと節約できるだろう」と、逆に逆上されてしまうかもしれません。
可能なら、双方の親しい友人、ファイナンシャルプランナーなど第三者を介して、客観的に話をすることがいいでしょう。
上記のカウンセリング相談者の場合は、残念ながら前者でした。
パート勤めの妻が困っていることで、優越感に浸るという典型的なモラハラ体質の夫でした。
生活費を入れない経済的DVの夫と有利に離婚するには証拠が必要
経済的DVの夫にいろいろな方法で対応してきたけれども、どうしても話がつかないときは離婚を考えざろうえない場合もあります。
では、経済的DVは、離婚の原因として認められるのでしょうか。
協議や離婚調停で相手の合意を得ることができれば、離婚の理由・原因がどのようなものであっても、離婚をすることはできます。
しかし、離婚裁判になった場合には、裁判所に離婚について判断を仰ぐことになり、離婚を認めてもらうためには、民法上の離婚事由(民法770条)に該当している必要があります。
経済的DVは、この離婚事由のうち、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性が高いです。
また、生活費を入れてくれない、入れてくれていても明らかに少ない金額の生活費しかくれない場合には、「悪意の遺棄」という離婚事由に該当する可能性もあります。
いずれにしても、経済的DVがあったと立証する客観的な証拠が必要になります。
- 経済的DVを受けた日付とともに、夫からどんなことを言われたか、夫がどのような行動をとったかなどの内容のメモ
- 経済的DV発言の録音
- 心療内科などの診断書
- 家計簿
- 預金通帳
などを用意しておくことが大切です。
経済的DVをする夫と離婚する際には、金銭のからむ財産分与でも折り合いがつかないことが多いです。
もしも経済的DVの夫との離婚を考える場合は、こちらも参考にしてくださいね。
まとめ
今回は、
- 経済的DVの具体的な特徴
- 生活費を入れない経済的DV夫への対処方法
- 経済的DV夫と有利に離婚する方法
についてご紹介しました。
まずは、対処方法を試していただき、改善されずに離婚したい場合は、経済的DVを受けていたことを立証する客観的な証拠を集めましょう。
裁判所に離婚を認めてもらうための証拠集めの助言もアドバイスさせていただいていますので、お気軽にお問い合わせくださいね!