面会交流は拒否できる?離婚後に子供に会う頻度や場所はどう決めるのか

両親の離婚における、最大の被害者は子どもですね。
安心して過ごせるはずだった家庭が壊れてしまったことは、子どもにとっては、多大な不安感や喪失感をもたらしてしまいます。
子どもが、別れた非親権者の親と定期的に会い、非親権者との絆を確認できれば、これが子どもにとって最善の利益になることは言うまでもありませんよね。
そこで今回は、
- 面会交流権とはどういう権利か
- 面会交流の会う頻度や場所などの決め方や決めるべきこと
- 面会交流は拒否できるのか
- 面会交流が認められない具体的なケース
などについてお伝えします。
目次
面会交流権とは?
面会交流権とは、離婚やその他の事情で子どもと離れて暮らしている親(非監護親といいます)と子どもが、直接会ったり、手紙や写真、プレゼントの受け渡し等で、親子の交流をする権利のことです。
面会交流権は、親だけでなく、子どもの権利でもあります。
親子である以上、お互いに会いたいと思うのは自然のことですし、また、子どもが健全に成長していくためには、両方の親からの愛情を感じられる環境が望ましいと考えられるため、このような権利が認められています。
法律では、親の権利であると同時に、子どもの権利でもあり、子どもの権利の方がより強い、となっています。
しかし、子どもの権利といっても、子ども自身が権利を行使できるわけでもなく、離婚時の状況などによっては、面会交流を妨げるなど親権者の事情であることが多いのが実情です。
また、面会交流権は、離婚後だけの権利ではなく、離婚前の別居中にも認められます。
面会交流の頻度や場所などの決め方
最初は、当事者同士の話し合いで、面会交流の方法や回数、時間、場所について決めます。
そして、当事者同士の話し合いによる解決が難しい場合には、裁判所の調停で解決を図ることになります。
具体的には、非監護親が監護親の住所地を管轄する家庭裁判所に、子どもの監護に関する処分(面会交流)の調停を申し立てることになります。
調停でも決まらない場合には、審判に移行し、裁判官に面会交流の内容を判断してもらうことになります。
面会交流の調停や審判の流れ
調停においては、調停員を交えて面会交流の方法や回数、時間、場所などの具体的な内容を話し合うことになります。
この話し合いがスムーズに行われるようにするために、また、審判に移行した場合に適切な判断がなされるために、「家庭裁判所調査官による調査」や「試行的面会交流」を行う場合もあります。
家庭裁判所調査官による調査
家庭裁判所における面会交流権の調停や審判においては、調停委員や裁判官のほかに、家庭裁判所調査官が大きな役割を果たします。
家庭裁判所調査官は、心理学、教育学、社会学などに関する知識、技法を活用し調査します。
主に、子どもが面会交流についてどのような意見を持っているのか、面会交流をするにあたり、子どもや監護する親に与える影響などを調査します。
調査に際しては、子どもにおいては、年齢に合わせた方法を行い、子どもの心身状態に十分な配慮をします。
そして、家庭裁判所調査官の調査した結果は、調停委員が当事者を説得する際や、裁判官が審判において面会交流の方法や回数、時間、場などを判断する際に考慮されます。
試行的面接交流
試行的面会交流とは、子どもが、非監護親とどのように接するかを見極めるため、面会交流をテスト的に行います。
面会交流の場における、親子の交流状況を観察します。
試行的面会交流は、家庭裁判所調査官の立会いの元で、裁判所内の絵本や玩具が置いてある専用の部屋で行われます。
試行的面会交流により、実際の面会交流で、非監護親や子どもがどのような状態になるかについて、監護親が確認できます。
しかし、試行的面会交流は1回しか行われないため、試行的面会交流において親子間のコミュニケーションがうまくとれなかった場合には、面会交流が否定になる可能性もあります。
面会交流で決めるべき内容は?
調停で決められる面会交流の内容については、直接会う方法が多く、基本的には月1回、時間で2~3時間程度です。
しかし、子どもの年齢など個別の事情により、異なる取り決めがなされることもあります。
また、監護親が了承することを条件に、子どもが非監護親の自宅に宿泊するという形での面会交流もあります。
なお、面会交流時の子どもの引き渡しについては、監護親と非監護親の間で直接行われることが望ましいです。
しかし、双方が会いたくない等の事情がある場合には、第三者に引き渡しを頼むこともあります。
面会交流について、具体的には以下のような事項を決めることが多いです。
- 面会交流の頻度
- 一回に会う時間
- 会う場所
- 子どもの受け渡し方法
- 都合や体調不良の際の連絡方法
- 面会交流にかかる交通費の負担
- 宿泊の可否
- 電話や手紙、プレゼントのやり取りをどうするか
- 入学式、運動会などのイベントに参加の可否
- 祖父母との面会の可否
面会交流は拒否できるの?
子どもの福祉のために、面会交流はできる限り認められるべきという考え方が一般的になっていることから、監護親が「相手に会わせたくない」という理由では面会交流を拒否することはできません。
しかし、面会交流は、子どもが健全に成長していくために行うことですから、会うことによって子どもに悪影響がある場合には、面会交流は認められません。
では、面会交流を拒否したい場合や、逆に面会交流を拒否された場合はどうしたらよいでしょうか。
面会交流を拒否したい場合
当事者の話し合いで決まらないときは、家庭裁判所に調停又は審判を申立てて、面会交流について話し合い、裁判所の判断を求めることができます。
家庭裁判所では、子どもの福祉に反しないかという観点から、面会交流を禁止・制限すべき事情の有無を調査し、判断します。
裁判官は、「子どもの福祉」を判断する際に
- 子どもの意見、子どもの生活環境におよぼす影響、
- 監護親の意見、監護親の養育監護に対する影響、
- 非監護親の問題点、
- 別居・離婚に至った経緯、別居・離婚後の関係
等を考慮して、判断します
具体的には、
- 過去に子どもを虐待していたなど、子どもに危害を加える危険性がある
- 非監護親が子どもを連れ去る危険性が極めて高い
- 子どもが面会交流を拒絶している
- 父母の感情的対立が激しく、面会交流の実施が困難
などの場合です。
子どもの意見や生活環境におよぼす影響
子どもがある程度の年齢に達している場合や、子どもが15歳未満であっても監護親の影響を受けずに、子どもが自分の意見をしっかりと述べることができる場合は、裁判所は子どもの意見を重要視する傾向があります。
子どもが強く面会交流を拒否している場合には、面会交流が認められないケースもあります。
子どもが、親の離婚やDVなどの影響で家庭内暴力をふるったり、不登校になった場合、面会交流を認めることで、さらに、子どもの生活環境への悪影響が心配されるため、面会交流が認められない場合があります。
監護者の意見
子どもが乳幼児の場合、面会交流をするためには、監護親の協力が必須になります。
しかし、監護親が、別居や離婚に至った経緯から、面会交流に消極的である場合には、面会交流が認められない場合もあります。
非監護者の問題点
非監護親が子どもに暴力をふるったり、子どもを連れ去る危険性が高いなど、非監護親に問題点がある場合は、面会交流を認めることによって、子どもに重大な危害が加えられる恐れがあるため、面会交流が認められない可能性があります。
別居・離婚に至った経緯
別居や離婚に至った経緯が、非監護親の監護親や子どもに対する暴力である場合は、監護親や子どもが非監護親に恐怖心を持っているなど、面会交流が認められない可能性があります。
希望どおりの内容の面会交流権を獲得するには?
希望どおりの内容で面会交流の方法を決めるには、どのように進めたら良いでしょうか?
非監護権者の希望を伝えるとともに、監護者に都合や子どもの都合も考慮するべきですし、なにより子どもに「会いたい!」と思ってもらうことが一番です。
面会交流に反対する監護者に対しては、裁判所の調停で、根気良く調停委員や家庭裁判所調査官から、子どもの幸せのために面会交流をさせるべきであることを説得してもらいましょう。
以前は、裁判所から面会交流を積極的にさせた方がいいと言われることは少なったようですが、最近では、まずは離婚の財産分与などの問題よりも、面会交流について先に決めることが多くなってきています。
モラハラやDVが原因で離婚した場合の面会交流については、こちらもご覧くださいね!
まとめ
今回は、
- 面会交流権とはどういう権利か
- 面会交流の会う頻度や場所などの決め方や決めるべきこと
- 面会交流は拒否できるのか
- 面会交流が認められない具体的なケース
などについてお伝えしました。
夫婦は離婚すれば他人になりますが、子どもは父と母の血を引いた親子です。
信頼、尊敬できる両親か、嫌いで否定すべき両親なのか、どちらが子どもの自信や自尊心を育むことになるかは明らかですね。
また、うちのお母さんは、お父さんと会わせてくれるいいお母さんだな、と安心感を持って成長できることで、一緒にいる親にとっても育てやすさにつながります。
面会交流は、それぞれによって事情が異なりますので、面会交流を拒否したい事情がある方や、面会交流を拒否されて子どもに会えなくて悩んでいる方は、ご自身の状況についてお気軽にご相談くださいね。